この映画の原作は、パウロ・コエーリョの同名小説「
ベロニカは死ぬことにした
」。
既に世界120カ国以上で翻訳され、日本語版でも20万部を超す話題作らしい。
一見、満ち足りた生活を送る、ある若い女性の絶望と再生の物語。その舞台を、7年連続して3万人の自殺者が出ている日本に置き換えて、映画化した。
「なんでもあるけど、なんにもない」退屈な人生にうんざりして、自らの命を絶とうとした28歳のトワ(真木よう子)が目覚めた場所は、ちょっと変わったサナトリウム。「君はあと7日間の命だ」と、院長(市村正親)が宣告する。
自分に残されたあまりに短い時間を送るうち、はじめて彼女は、それまで拒絶していた自分自身を受け入れ、周囲に目を向ける。
おいしいものを食べること、楽しむこと、好きな格好をすること、美しい音楽を奏でる喜び、人生を彩るものすべてが彼女を変えていき、率直な生への欲求が芽生え始める……。
院内での風変わりな人々の独特な世界と、ファンタジーな映像で、一風変わった浮遊感のある作品になっている。
風吹ジュン、中嶋朋子、荻野目慶子、淡路恵子のほかに、韓国の人気俳優イ・ワンや、NHKの子ども番組で人気のミュージシャン・山口トモなど、異色の配役も楽しい。
多彩な役者陣のなかで、若手女優・真木よう子がヒロイン・トワを演じ、その演技で作品を引き締めている。
現代人、中でも女性たちが抱える生きにくさを見すえながら、どこかふわりとしたさわやかさで、ラストがまた感動的な瞬間となっている。