手塚治虫の原作を、大友克洋が脚本、りんたろう監督という豪華なアニメーション・クリエーターたちが映画化。
ロボットと人間が共存する未来都市メトロポリス。
最高権力者であるレッド公は、自らの威光の象徴としてジグラットという超高層ビルを建設する。
さらに、お尋ね者のロートン博士に命じて、亡き娘をモデルにしたティマというロボットをつくらせ、ティマをジグラットの玉座に座らせようとする。
メトロポリスにはロボットを敵視する過激な勢力があり、レッド公の親衛隊のロックはティマを破壊しようと狙う。
ロックは、ロートン博士を射殺し、博士の研究施設に火を放つ。ロートン博士を追ってきたヒゲオヤジとケンイチは、炎の研究施設に飛び込む。
ティマがつくられた目的は、世界を征服する司令塔となることだった。玉座に座ったティマは、ロボットの怨みを晴らすために……。
レッド公を失脚させようとする権力闘争。
それに利用される民衆の武力蜂起。
ケンイチの優しさに触れて感情をもち始めるティマ。
そしてティマを狙うロックたち……。
ロボットへの差別という形で人権問題が、そして暴力、戦争、権力闘争といった20世紀に人類が経験した巨大な愚行の数々が、重層的に展開されるストーリーの中に盛り込まれている。
21世紀を迎えた私たち人類は、それらを本気で反省できたのだろうか。
忙しさに流されながらも、直面せざるを得ない問題が山積している。