ダン・ブラウンの世界的ベストセラーを映画化した本作は、各国で賛否両論を巻き起こしている。
物語が暴いていくのは、キリスト教の概念を覆す、聖杯の意味や、キリストその人についての驚愕の事実などであるからだ。
とは言え、こうした仮説を唱えるのは、この小説が初めてではない。
シオン修道会やオプス・デイ、十字軍遠征にも参加したという12世紀以降のテンプル騎士団、そして聖杯伝説など、自在に歴史を遡りながら、それらの伝説の謎を、主人公たちとともに解いていくのは、ゾクゾクするような面白さがある。
主人公・ラングドン教授の専門分野である西洋美術史の図像学による、絵画の読み解きも楽しい。
パリのルーヴル美術館で殺害された館長は、死の間際に自らの身体を使って不可解な暗号を残す。その暗号の中に、ハーバード大学のラングドン教授(トム・ハンクス)の名前を見つけた、フランス司法警察のファーシュ警部(ジャン・レノ)は、協力を求めるという口実で、彼を現場に連行する。
暗号解読官ソフィー(オドレイ・トトゥ)とラングドンは、警察の追跡をかわしながら事件の謎を解明していくが……。
ともかく謎解きが好奇心を刺激する。
何世紀にもわたる秘密文書の解読や、キリスト教最大の秘密が暴かれていくという興奮。
映画を充分に堪能するには、原作本を読む方が良いかもしれない。
冒頭の場面は、実際に深夜のルーヴル美術館で撮影されたものとのこと。
ヨーロッパでのオールロケといい、凝りに凝った本格ミステリーと言えるだろう。