幼い2人の兄弟が歓声をあげながら、野原を自転車で走ってゆく。青空の下、野に一面に咲く黄色い花が、黄色い帯となって飛んでゆく映像の美しさ。子どもっていいな、子ども時代って楽しかったなと思わせる。
兄弟は少し前にお母さんを亡くし、お父さんと3人で、イギリスのある街に暮らしている。ある日、兄弟が線路わきに作った段ボールの秘密基地に、ポンド札がいっぱいに詰まったボストン・バッグが降ってきた。中身の総額は22万9320ポンド(約4600万円)!
ポンドがユーロにかわる12日前という設定。こんなこともあるかもしれない。ある犯罪組織が、焼却炉行きのポンド紙幣を積んだ列車から金を盗み出しては外に投げていたのだ。降ってきたのは、あとから回収するはずのバッグの1つだった。
そうとは知らず神様の贈り物だと思い込み、貧しい人々を助けようと考える弟。お兄ちゃんの方は現実的で、ゲームや自転車を買ったあと、これを元手にひともうけを目論む。
紙幣がただの紙切れになる前に使ってしまおうと兄弟は奮闘するが、子どもには案外難しかった。募金をしようにも多額な募金は怪しまれる。銀行は口座を開かせてくれないし、投資用に家を買おうにも不動産屋は相手にしてくれない。そんな中、お金を見つけたお父さんは……。
刻一刻とポンドがユーロに変わる日は近づいてくる。お金を追って、組織の手も伸びる。さて兄弟は、無事にお金を使いきれるのか?
架空の設定も活き、子供の純真さ、悪賢さ、大人の狡さがほどよくブレンドされた楽しい映画。そして小さな兄弟が、お金が必ずしも人をしあわせにするわけではないことを学ぶとき、観る者は身につまされるだろう。
12日間で大きく成長した2人に最後、奇跡が起きる。神様の贈り物?
子どもはお金で到底買えないものでも手に入れる想像力を持っている。これこそが神様の贈り物に違いない。