社会科の教師シモネット(ケビン・スペイシー)が授業で課題を出した。
自分で世界を変えるにはどうしたらよいか?
一人の少年トレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が考えた答えは、1人で3人の人のためになることをしよう。それは自分にとって難しいことでなくてはいけない。
そして、それをしてもらった人はお返しをするのではなく、まったく別の3人にとってためになることをしよう。
そうすればその輪がドンドン広がっていき、きっと世の中が変わるはずだ。
トレバーは、この自分の考えが成功するかどうか、実際に試してみる。
そしてこの試みが、やがて大きな奇跡を起こす……。
殻に閉じこもる傷ついた男をケビン・スペイシーが、生活に疲れアルコールに依存するトレバーの母親役をヘレン・ハントが演じているが、それぞれが流石の存在感だ。
そして、「シックス・センス」で11歳にしてアカデミー賞候補になった少年ハーレイ・ジョエル・オスメントは、「世の中最低だからこそ何とかなってほしい」と切に願うトレバーを演じる。それぞれが、120%役柄を演じきっている。
トレバーの一生懸命さは、観る者の心に小さな灯をともしてくれる。
もしかしたら、自分のほんの小さな力でも、一人ひとりが少しずつ努力することによって何かが変わり、世の中が良い方に向かうかもしれないという思いの灯火を。
凶悪な犯罪が増え、人々の心のすさみを感じる毎日だが、私たちは希望なくして生きられない。
小さな積み重ねでみんなの心が潤えば、きっと世界中の人がやさしい気持ちでいられる日が来ると信じたい。