ヨーロッパに古来から伝わる雲の上の伝説の王国「マゴニア」。
956年にはアイルランドの教会の屋根に、空を飛んできた船の碇が引っかかり、奇妙な姿をした船員が下りてきて、碇の綱を切って飛び去ったという記録が残っているとか。
“不運”が空から降ってきたとき、地上に落下する前に一時的に留まる場所、それが「マゴニア」とされているそうです。
こうした伝説を素材にしたオランダ人作家アルチュール・ジャピンの短編小説「Magonian Stories」をもとに作られたのが本作「
マゴニア 希望の国を探して」です。
毎週日曜日に、父に会うため、透き通る海に囲まれた美しい島を訪れる少年。
船乗りだった父は週に一話ずつ、天空の王国「マゴニア」にまつわる話を語り聞かせます。
モスクに彩られたイスラムの街で、師匠の歌う仕事を奪った青年。
広大な砂漠の中の一軒の小屋を旅人の夫婦が立ち寄って迎える破局。
そして嵐の港で恋人の迎えを待ち続ける女。
幾通りもの「希望」の話を語り、父はあるメッセージを息子に託そうとする――。
撮影地となったグルジアの風景が、まさにファンタジーの世界そのもの。
美しくも素朴なおとぎの国を、じっくり堪能した。