確固たる理念とそれを貫く不屈の魂を持つ政治家は、洋の東西を問わず、ある種の理想であることには変わりがない。
本作「
ザ・コンテンダー」は、アメリカ政界を舞台に一人の女性政治家が主義を貫き通すために名誉を犠牲にして戦う物語。
副大統領が死亡し、後任にアメリカ初の女性副大統領候補レイン・ハンソン(ジョーン・アレン)が任命される。
しかし、議会承認の鍵を握る下院議員のラニヨン(ゲイリー・オールドマン)は、彼女のさまざまなスキャンダルを暴露することによってホワイトハウス入りを阻止しようとする。
はたして、初の女性副大統領は誕生するのか?
ジョーン・アレンが、聡明で、姑息な手段を決してとろうとしない高潔な勇気をもった政治家を好演している。
それぞれの政治家が、政治的野心を遂げようと動き回る。
大統領(ジェフ・ブリッジス)は残り2年の任期を輝かしいものにしたい。
ラニヨンはつながりの深いもう一人の候補者を推したい。
司法委員会のメンバーになりたいウェブスター(クリスチャン・スレイター)は、ラニヨンに取り入る。
駆け引きが渦巻く政治の世界では何を言われても動じない信念と、あくまで冷静でいられる強さを持たなくてはならない。
そんな政治の世界を、あくの強い役柄が似合うゲイリー・オールドマンの演技が体現している。
どんな場合でも誹謗や中傷に屈してはいけない。自分の信念のためには、何ものにも負けてはならないのだと教えてくれる作品だ。