「プラトーン」と「7月4日に生まれて」で、2度のアカデミー賞を受賞しているオリバー・ストーン監督作品。
アメリカの3大スポーツのひとつ、アメリカンフットボールを題材に、アメフトファンはもちろん、スポーツは好きだけどアメフトのルールはわからないという人も、スポーツにあまり興味がない人も、女性でも男性でも十分楽しめる仕上がりになっている。
プロフットボールチーム「マイアミ・シャークス」は、以前はチーム優勝を果たすほどの実力があったが、今では連敗、観客数も落ち込んでいる。
そんな中、ベテランのクオーターバック(デニス・クエイド)がけがをしてしまう。
ヘッドコーチであるトニー(アル・パチーノ)は、控えのウィリー(ジェイミー・フォックス)を出場させることにした。
彼ははじめこそ怖じ気づいていたが、次第に活躍するようになってくる。しかしスタンドプレーも目立ち始める。若きチームオーナー、クリスティーナ(キャメロン・ディアス)は、フットボールをビジネスとしてしかとらえておらず、若手や人気者を起用しベテランたちをはずしていこうとする。
果たして「シャークス」は再生できるのだろうか……。
アメリカでのフットボールに対する熱狂ぶりはたいへんなもので、活躍する選手は国民的スターであり、彼らには人気と同時に富と名誉がついてくる。
しかし、そうなるためには過酷な試合を勝ち続けなければならない。
迫力ある画面から、選手たちの野獣のような身体がぶつかりあい、きしむ音が聞こえてくるようだ。汗が飛び散り怒鳴り声をあげるさまはエネルギッシュそのもの。まさに男の戦場といえる。
アル・パチーノ演じるコーチには哲学がある。
ただ勝てればいいと言うわけではなく、チーム全員がひとつになって一歩でも前に進もうとすることが大切だというのだ。
こうした男臭いストーリーもさることながら、より楽しませてくれるのがフットボール史に残る伝説のプレーヤーたちが大挙して出演していることである。
さらに、映像と音楽で魅力が倍加する。
今回が初の長編となるミュージックビデオ界のサルバトーレ・トチーノの斬新な映像センスをミクスチャーロックとヒップホップの最新サウンドが彩る。
これぞエンターテインメントの極み、と言った感じだ。