沖でスキューバ・ダイビングを楽しんでいた夫婦が、海面に上がってみると、そこに待っているはずのツアーボートの姿が消えていた。
陸は見えず、助けが来る気配もない。水深18メートルの海に取り残された二人に、鮫の群れが近づいてくる……。
この「オープン・ウォーター」は、制作費が50万ドルに満たない低予算映画ながら、全米で3000万ドルを超す興行収入を記録したらしい。
映画に登場する鮫は、すべて本物。
出演者もスタントは一切使わず、鎖でできた防護服を身につけた役者が、鮫との“共演”に体当たりで挑んだとのこと。
鮫の訓練士も撮影に参加しているらしいが、何はともあれ無茶には違いない。
だが、だからこその臨場感、緊迫感にあふれている。
物語の着想は、1998年、オーストラリアで実際に起こった事件から。
鮫の映画といえばスティーブン・スピルバーグ監督の「ジョーズ」だが、本作の主役はあくまで人間。
人間関係の微妙な機微や、自然に対する傲慢さ。それを鮫を通して見透かしていく。