子供たちに大人気のウォンカのチョコレートは魔法のチョコ。工場の門は閉鎖され、働く者もいないのに、工場からは毎日、おいしいチョコレートが世界中に出荷されてゆくのだから。
そんな謎の工場が、このたび5人の子供を招待するという。招待されるのは、ウォンカの板チョコに入っているゴールデン・チケットを引き当てた幸運者。世界中の子供たちがチケットを当てようと狂奔したのだ。
さて招待日当日、伝説の工場主ウォンカ氏(ジョニー・デップ)に案内され、チャーリーをはじめ当選者たちが見たものは、お菓子の森、ナッツを割るリス、チョコレートの川、働きながら歌う小人たち……。
原作は、ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」。世界中で愛され、昨年、出版40周年を迎えたこのファンタジー小説の映画化には、ティム・バートン監督の奔放なる想像力を待たなければならなかった。スクリーンからは、「楽しさ」があふれだす。
それにしても、こんな工場を作ってしまうウォンカ氏は、いったい何者なのか? “秘密”は実は、ここにある。浮世ばなれしたウォンカ氏も人の子だったのだ――。
親の生き方は、なかなか理解できないものである。親に反旗を翻した結果が現在の自分の姿だったりしないだろうか。でもそんな自分の生き方が、今度は許せなかったりもする。
どんな親でも愛したいものである。親との和解は人生の大いなるテーマだろう。ファンタジーの世界に遊ぶうち、いつしか映画は観る者の痛いところを突いてくる。
そういえばチョコレートは甘いばかりではなく、ビター・チョコというのもあったっけ。そしてビターの味が、ビターの先に広がる甘さがわかるのが大人なのであった。
大人だって大好きなチョコレート。この映画も、子供だけのものではない。