近未来には私たちにも、こんな体験ができるのでは……と、少年のころの冒険心を再び駆り立てられる作品。
監督は「ミッション:インポッシブル」で知られる鬼才ブライアン・デ・パルマ。
西暦2020年――。アポロ11号で初の月面着陸を果たしてから半世紀、人類はさらなる偉業を達成した。火星の有人探査である。
ルーク(ドン・チードル)率いる第1ミッションチームは、火星の地質に水の成分を発見。それは人類が火星で生活できるという可能性を示唆するものだった。しかし突然、彼らからの交信が途絶える。
かろうじて送られてきた最後の映像が物語るものは、ルーク以外の乗組員が全滅したとの悲劇的な事実だった。
ウッディ(ティム・ロビンス)を中心とした第2ミッションチームは、飛行士として優れた技量を備えたジム(ゲイリー・シニーズ)とともに、ルーク救出へと向かうのだが……。
探査船内部の居住スペースをはじめとする映像の数々は、米航空宇宙局(NASA)の全面的な協力を得て生み出され、自分もまた宇宙にいるのかと錯覚してしまうほどの現実感に富んでいる。
ストーリーはリアルなSFとしての前半に対し、後半はSFファンタジー的な様相を見せる。そこには、多くの人々が抱いた異星人との遭遇への憧れや、宇宙そのものへの畏敬の念が込められているように思えてならない。
ともあれ、彼ら飛行士たちの言動からは、危険をものともせず、己に課せられた任務を遂行しようとする責任感や使命感、同じ目的に向かって突き進む団結の大切さ、冒険を求め、新たな世界へと突き進む開拓精神――など、私たちの人生に即して学ぶべき点が多いばかりでなく、人間の持つ可能性の大きさにも気付かせてくれる。
宇宙飛行士として多くの謎に包まれた宇宙の真の姿を明らかにしたい――かつて、少年時代に描いた夢を思い起こさせてくれる、そんな作品だ。