タイトルの「キンキー」とは、「風変わりな、性的に倒錯した」という意味。
倒産しかけたイギリスの田舎の靴工場が、ドラッグ・クイーン御用達のキンキーブーツで再生をはかるという物語。
それと同時に、女であること、男であること、そしてドラッグクイーンであることという、自分らしさを再確認する物語でもある。
「いったい僕に何ができる?」が口癖の優柔不断な青年・チャーリー(ジョエル・エドガートン)。
突然の父親の死で、相続した靴工場が倒産秒読みであることを知り、大慌て。
ロンドンで偶然出会ったドラッグクイーンのローラ(キウェテル・イジョフォー)から、工場再建のヒントを得る。クラブのスターとして華やかな衣装で過ごす彼女たちの悩みは、小さな女性用の靴を無理に履いていることだった。
男性の体重を支えられるブーツの市場価値を見いだしたチャーリーは、前代未聞の男性用セクシーブーツ作りを開始する。
勝負は1カ月後のミラノ国際見本市。しかし2人の大胆な改革の前に、保守的な人々の偏見と嘲笑という壁が立ちふさがる……。
イギリス流のユーモアにあふれた、笑いの後にじわっと感動が迫ってくる傑作だと思う。